Via Mind the Game

世界中から、わずか450の椅子を目指して超人たちが集うNBAという厳しい世界。その椅子に座ることができるのは超一流の選手のみ。彼らは生き残りをかけて日々しのぎを削っています。多くの選手は学生時代、地元では名の知れたスーパースターとして活躍し、いわゆるエリート街道をひた走ってきました。しかし、このNBAという舞台でも、学生時代と同じようにプレーできるかどうかは、まったくの別問題です。

上には上がいるこの世界では、一芸に秀でた“職人”として生きる道を選ぶ選手もいれば、プレースタイルが噛み合わず、確かな実力を持ちながらもリーグを去ってしまう選手も少なくありません。そんな世界で23年にもわたり「オールラウンダー」として第一線を走ってきたレブロン・ジェームズ。レブロンは今シーズン活躍が著しいある若者を同じくオールラウンダーとして1990年代のシカゴ・ブルズ王朝を支えたレジェンド、スコッティ・ピッペンになぞらえました。


レブロンが語ったジェイレン・ジョンソンの役回り

JJ・レディックがロサンゼルス・レイカーズのHCに就任したことで、現在はスティーブ・ナッシュとレブロン・ジェームズの体制で人気を博すポッドキャスト、「Mind the Game」にて、アトランタ・ホークスの成長株であるジェイレン・ジョンソンの役回りについて言及しました。

"I think, you know the injury to Trae Young has sprouted even more of what Jalen is capable of doing. They've put him at this Scotty Pippen role where he's playing like this point forward and not only is he scoring, he's rebounding at a high rate and he's dishing the ball. We've seen over like the last month where he might have three, four, five triple doubles. Um, playing the game at a high level an just um, you know, I just love the improvement. I love seeing that. "
トレイ・ヤングが負傷したことで、ジェイレンが“何ができる選手なのか”が、よりはっきりと表に出てきたと思う。ホークスは彼を、いわばスコッティ・ピッペンのような役回りに置いていて、ポイントフォワードとしてプレーさせている。彼は得点を取るだけじゃない。高いレベルでリバウンドを奪い、ボールもさばく。
この1か月くらいを見ても、3つ、4つ、5つとトリプルダブルを記録する試合があったよね。本当に高いレベルでゲームをコントロールしていると思うし……
何より、その成長ぶりを見るのがたまらなく好きなんだ。ああいう進化は見ていてワクワクする。

ポイントガードからセンターまで、ポジションという概念がないほど全てをこなすレブロンも認めるジェイレン・ジョンソンという若き才能。キャリア4年目の24歳、身長203cmのサイズと長い手足を武器に、今季はさらなる飛躍を遂げています。


NBAで生き残る方法

レブロンに続けてナッシュも持論を展開。NBAで生き残るために重要な要素を持ち合わせているジョンソンをこう表現します。

 "I think great players in our league, an element that makes people great consistently is rim pressure."
このリーグで安定して偉大であり続けるための要素の一つは「リムプレッシャー(ゴール下への圧力)」だと思う。

今季は平均22.8得点、8アシストを記録しているジョンソン。スタッツを見ても分かるように自ら得点を奪うだけではなく、チーム全体の得点機会を生み出す存在となっています。それを可能にしているのがナッシュのいう「リムプレッシャー」でしょう。サイズと高い運動能力を活かしてペイントにアタックすれば当然ディフェンスの意識は集まります。レブロンが言うように、ジョンソンはポイントガードならぬ「ポイントフォワード」としてプレーメイクできる存在です。


スコッティ・ピッペンまでの道のり

ジョンソンのポテンシャルの高さがどれほどのレベルなのかをナッシュに問われたレブロンは、“次世代のスコッティ・ピッペン“になり得るまでの道のりを語りました。

"And obviously he has a long way to, you know, a long way to go. But as far as the talent, you look at a guy with long arms, 6'9, 6'10 runs like a deer, super athletic. He's improved his outside touch, but like you said, putting pressure on the rim, his ability to rebound, he can guard, he can guard one through five,"
もちろん彼(ジョンソン)にはまだ長い道のりがある。でも才能に関しては、6フィート9インチか10インチ(約206〜208cm)の身長に長い腕。鹿のように走り、超人的な身体能力がある。アウトサイドショットのタッチも向上しているし、君(ナッシュ)が言ったようにリムプレッシャーをかけ、リバウンドも取れる。ディフェンスでは1番から5番までガードできる。
"I don't know what his ceiling is, but I know it's not low. Um I think it continue to I think it's very high and I'm looking forward to seeing what happens. I think he's on pace to be an all-star in the East this year for sure, you know. there's no doubt about it."
彼の天井がどこかは分からないが、決して低くないことだけは確かだ。非常に高いと思うし、これからが楽しみだ。今年の東のオールスターに入るペースなのは間違いないよ。

ジェイレン・ジョンソンとスコッティ・ピッペンの比較

実際に2人を比べるうえで、数字は何を語るのでしょうか。当然ながら、ピッペンが主に活躍した1980〜90年代と現在では試合のペースや戦術、リーグ全体のトレンドは大きく異なり、単純なスタッツ比較が正確とは言えません。また、どちらが優れているかを決めるための比較でもありません。しかし、それでも数字を並べてみることで浮かび上がってくるものはあります。

〈ジェイレン・ジョンソン〉

1年目(20歳)2.4得点 1.2リバウンド 0.1アシスト 22試合/5.5分
2年目(21歳)5.6得点 4リバウンド 1.2アシスト 70試合/14.9分
3年目(22歳)16得点 8.7リバウンド 3.6アシスト 56試合/33.7分
4年目(23歳)18.9得点 10リバウンド 5アシスト 36試合/35.7分
5年目(24歳)23得点、10.2リバウンド、8アシスト※41試合終了時点/35.5 分

〈スコッティ・ピッペン〉

1年目(22歳)7.9得点 3.8リバウンド 2.1アシスト 79試合/20.9分
2年目(23歳)14.4得点 6.1リバウンド 3.5アシスト 73試合/33.1分
3年目(24歳)16.5得点 6.7リバウンド 5.4アシスト 82試合/38.4分
4年目(25歳)17.8得点 7.3リバウンド 6.2アシスト 82試合/36.8分
5年目(26歳)21得点 7.7リバウンド 7アシスト 82試合/38.6分

以上のようにジョンソンは単純な得点、リバウンド、アシストだけでも年齢を経るにつれてピッペンと似たような成長曲線を歩んでいると見て取れます。


31得点、18リバウンド、14アシスト、7スティール

現地2025年 11月13日のユタ・ジャズ戦でジョンソンは圧巻のスタッツを残しました。得点、リバウンド、アシスト、スティールでいずれもキャリアハイを記録。驚異的なスタッツを残した直後、ジョンソンは『NBA Today』に出演し、質問に答えました。

"Um, I think it's just a start. Um, it's so definitely not where I want to, you know, I it was a great game yesterday, but I definitely want to just keep moving forward in the right direction."
これはまだ「始まり」だと思っています。決してここがゴールではありません。昨日の試合は素晴らしかったですが、僕はただ正しい方向に進み続けたいんです。
"I think the main thing is I just I do whatever it takes to win. Uh, whatever the game calls for me to do that game, I take pride in. uh whether that's passing, um scoring, defending, whatever it may look like, uh it may look different each night, but uh the main thing is I just want to help my team uh win."
一番は「勝つために必要なことは何でもする」ということだと思います。その試合で求められる役割に誇りを持っています。パスであれ、得点であれ、ディフェンスであれ。毎晩形は違うかもしれませんが、チームを勝たせたい、その一心です。

Via NBA official YouTube

Via Malika Andrews - ESPN

レブロンが語ったように、彼の天井がどこにあるのかはまだ誰にも分かりません。しかし“勝つために何でもする”というスタンスと、ボールを預けられる存在へと変貌しつつある今の姿はジェイレン・ジョンソンが単なるブレイクアウトではなく、NBA史に名を残すオールラウンダーになる可能性を秘めていることを示しています。

「スコッティ・ピッペンになれるかどうか」その答えが出るのはまだ先の話。ただ、この問いを本気で投げかけられる地点に立っていること自体が、彼がすでに特別な存在である証なのかもしれません。


参考引用・ソース(Sources)

・NBA.com(選手プロフィール・試合記録)

・Basketball-Reference.com(Jalen Johnson, Scottie Pippen 各選手スタッツ)

・ESPN, NBA Today, Malika Andrews

「Mind the Game」official YouTube