ピック&ロールに代表されるボールスクリーンアクションは、現代バスケットボールにおいて数的優位を作り出す最も効果的な戦術の一つです。今回は、そのピック&ロールの中でも、ペース&スペース時代と切っても切り離せない「ドラッグスクリーン」に焦点を当ててご紹介します。試合がよりスピーディで流動的な展開を見せる昨今のNBAでは、このドラッグスクリーンを見ない日はありません。本コラムをお読みいただければ、試合観戦の楽しみがグッと深まるはずです。
ピック&ロールの定義をおさらい まず、基本に立ち返ってピック&ロールの定義をおさらいしましょう。私自身もつい試合中継で「ピック&ロール」と連呼しがちですが、ボールハンドラーに対してスクリーンをかける連携のことを正しくは「オンボールスクリーン」、または単に「ボールスクリーン」と呼びます。そのボールスクリーンの中に、スクリナーの動きによって呼び方が異なる連携、例えばピック&ロールやピック&ポップなどが存在しているのです。
しかし、日本では「ボールスクリーン」という用語の広まりが不十分なため、中継では試合を観ているファンに視覚的イメージを持ってもらうべく、便宜上「ピック&ロール」と呼ぶことが多いのが現状です。
ドラッグスクリーンとは? トランジションピック&ロールの新たな形 今回ご紹介するドラッグスクリーンは、アップテンポな展開に非常に相性が良いボールスクリーンであり、通称「トランジションピック&ロール」とも呼ばれます。
多くの場合、明確なプレーコールすらなく、ボールハンドラーが送るシンプルなシグナルで始まります。また、ボールハンドラーがドリブルで駆け上がるエリアを見て、後方に位置する「トレーラー」が自ら判断し、スクリーンに駆け寄る形でセットされることも少なくありません。
【ドラッグ ピック&ロール】
X&O📝ピック&ロールおよびボールスクリーンの基本図解 #2
知っているようで知らないボールスクリーン #2。ここでは基本形から応用編、派生型などを紹介します。日々の観戦に役立つことを願っています。
Vol.2 of Diagrams of ball screen plays you may or may not know. Here we introduce basic forms, applications, and variations. Please make use of them for your daily game experience.
ドラッグスクリーンの語源と動き 「トレーラー」とは、ボールを持って速く攻め上がるボールハンドラーに対し、遅れて後方から駆け上がる選手のことを指します。
往々にして、ディフェンスリバウンドを取ったパワーフォワードやセンターであることが多いトレーラーですが、「トレーラートラック」が荷台やコンテナを引きずる様子から来ており、ドラッグスクリーンの「ドラッグ(Drag:引きずる)」もここに由来します。
Photo by Roberto / Unsplash 例えば、ウイングの2人が先頭を走ってコーナーを埋め、ボールハンドラーがドリブルで駆け上がります。その後ろを遅れて追いかけるビッグマンが、ボールマンに引きずられるようにスクリーンに入るのがドラッグスクリーンです。
定義としては、「トランジションやセミトランジションの中で、ボールを後追いするプレーヤーがかけるオンボールスクリーン」となります。もちろん、試合中は完全に後追いとならないケースも発生します。
ボールスクリーン成功の鍵はビッグマン攻略 ではなぜ、このドラッグスクリーンがペース&スペース時代と切っても切り離せないアクションとなっているのか。それを解説するためには、ボールスクリーンを成功させるための要素を理解しなければなりません。
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