コントラクトイヤーを迎える | Rui Hachimuraの新シーズンに求められるもの

コントラクトイヤーである7シーズン目を戦うロサンゼルス・レイカーズ八村塁選手。いずれ訪れる第三の転機に向かってどのようなパフォーマンスが求められるのか。この記事は佐々木クリスがアナリストとして分析と展望をする長編シリーズ完結、第三部である。
Rui Hachimura, now in his seventh NBA season and a contract year with the Lakers, faces a crucial stretch ahead of his third career turning point. This is the final part of analyst Chris Sasaki’s in-depth series on Hachimura’s performance and outlook.

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7シーズン目はディフェンスが全て

いよいよシリーズ完結、第三部にして最重要項目であるディフェンスについて考えていきたい。7シーズン目のパフォーマンスについて、これまではオフェンス面をたっぷりと解説してきたが、第三の転機を心地よく迎えられるかはディフェンスが全てだと言い切れるほど重要だと感じる。それには2つの理由がある。

1. ルカ・ドンチッチとの共存を果たすうえでなくてはならない
2. レイカーズにおける貢献度は既に十分計算ができる安定感を誇っているからこそ、伸び代が多く残されているディフェンス面

このように、NBA界でのヒエラルキーをさらに登っていくために、ディフェンスが重要である理由は、至ってシンプルである。特にレイカーズでルカと共にプレーを続けるためには、球団に対して自分のマッチアップを抑えることに加えて、ルカが抱えるディフェンス面での制約をカバーできることを見せ続けなければならない。これはルカのダラス時代のチームメイトたち、ドーリアン・フェニー＝スミスやPJ・ワイントンなどを思い起こすだけで十分だろう。ルカの周りには1人でも多く、運動能力が高く、優秀かつ万能なディフェンダーを揃えたい。

八村選手がこれにハマるのか、そうではないのか。ディフェンス面でのパフォーマンスは細部の細部に渡るまで評価の対象となるだろう。個人的には現状維持でも万能とは言えず、今季はトップクラスディフェンダー達とのギャップをどこまで埋められるのか、ここが焦点となる。もちろん、他球団でも先発クラスの契約を得ようとしても同じことが言える。

必要は発明の母 -八村選手が携える光と影

最初に、キャリアを通じて「ディフェンスが課題」と言われてきた大きな原因を考察したい。なぜならば、ディフェンスが課題と言われる理由と、彼をNBA選手たらしめている才能、つまりタレントはコインの裏と表、光と影ほど密接に関わっているように感じるからだ。

光、それは名だたる強豪国出身の選手を抑えて、世代別の世界選手権で得点王に輝いた類稀なる才能と運動能力。203cmでありながらウィングスパンは218cm、跳躍力も抜群の八村選手に備わっている万能ディフェンダーとしての資質は疑いの余地がない。しかし、八村選手はNBAに入ってくる選手たちのなかでも傑出した能力を持ち合わせているがゆえに、ディフェンスの駆け引きを学ぶことができなかったのではないか、と思わされることも多い。少なくとも、駆け引きを学べる環境にいなかったのではないだろうか。